平成十二年 山幸彦 海中に入る

平成十二年 出陣

山幸彦 海中に入る

(やまさちひこ かいちゅうにいる)

兄の海幸彦(うみさちひこ)の大事な釣針を借りて無くしてしまった弟の山幸彦(やまさちひこ)は、いくら謝っても、その怒りを鎮めることができなかった。一人海辺で途方に暮れていたとき、塩土老翁(しおつちのおじ)が現れ、その教えにより海神(わだつみ)の宮を訪ねる事となった。
そこで出会った海神(わだつみ)の娘、豊玉姫(とよたまひめ)と結婚し三年の月日が過ぎたある日、当初の目的を思い、深いため息とともに、山幸彦(やまさちひこ)は、事情を語り始めたのである。海神(わだつみ)がすぐさま大小の魚すべてを集めたずねたところ、喉の痛みで嘆いている大鯛がおり探ってみると、はたしてかの釣針が出てきたのである。後に地上に戻った山幸彦(やまさちひこ)は、兄と争いになるものの、海神(わだつみ)からもらってきた潮満珠(しおみつたま)潮乾珠(しおひるたま)の力で兄を降参させ、その後は仲良く栄えたという。

 水の惑星といわれる地球。その約七割を占める海は、すべての生命体の源である。環境汚染がすすむ昨今、二十一世紀に美しい海の宮を残すべく、我々はあらためて水の大切さを認識しなければならない。

解説 竹浪 比呂央

○○賞 受賞

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