平成三十年 大海原の神 金毘羅大権現

平成三十年 出陣

大海原の神 金毘羅大権現

(おおうなばらのかみ こんぴらだいごんげん)

 海上交通の守護神として、古くより漁師や船員などから、多くの信仰を集める金毘羅大権現。
 またの名を薬師十二神将『宮比羅』。亥の神でもある。
 荒れ狂う大波に巻き込まれ、風前のともし火の船乗りが祈る声を耳にした金毘羅大権現は、分身である巨大な黄金色のイノシシと共に荒海に姿を現した。宝剣を豪快に操り起こした神通力と、イノシシの強烈な勢いで怒る荒波を鎮め、ほどなく海は穏やかさを取り戻したのであった。
 金刀比羅宮(通称 こんぴらさん)に直接お参りに来られない船乗りが、のぼりを立てた樽に酒や賽銭を入れて船から瀬戸内の海に流すと、地元の漁師が拾って代わりに奉納する『流し樽』の風習が今に残り、現代も厚く崇められる金毘羅大権現の姿に、海で繋がる世界が平和であると共に、『猪突猛進』亥のごとく、希望の未来に向かって邁進していく事を祈念するものである。

解説 手塚茂樹