令和六年 鵺退治

令和六年 出陣

鵺退治

ぬえたいじ

平安の頃。近衛天皇は毎晩丑の刻になると酷く発作を起こす奇怪な現象に悩まされており、原因究明の勅命を受けた源頼政は深夜に弓矢を携えて、郎党の猪 早太と紫宸殿で待ち構えた。

やがておびただしい黒雲が御所の屋根を覆いつくすと、頼政はその中に怪しげな影を見つけ「南無八幡大菩薩」と念じて天に矢を放つ。

 手応えを感じた頼政の命により、早太は暗闇から墜ちてきた物の怪を剛力で取り押さえ、最期の抵抗をかわして短刀ひと突きに息の根を止めた。(ねぶたの場面)

この物の怪は、頭が猿、胴が狸、尾は蛇、手足は虎、という恐ろしい姿の「鵺」であった。回復した天皇は褒美として頼政に獅子王という宝刀を授けた。

刀を渡す役の藤原頼長が「ほととぎす 名をも雲井にあぐるかな」と詠じると、頼政は「弓張月の 射るにまかせて」と即座に下の句を返し、文武両道の武将として名を馳せた。

得体の知れない物の怪に勇猛果敢に立ち向かい退治した頼政と早太の姿に、今なお続く紛争や災害など多くの禍災が消滅し、平穏な世が訪れる事を切に願うものである。

解説 手塚茂樹

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